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 今回は、イングランドの挿絵画家アーサー・ラッカムが「ニーベルングの指輪」に描いた挿絵より一枚。
 ラッカムは1890年代から2・30年にわたってヨーロッパでもっとも活躍した挿絵画家のひとり。繊細でロマンチシズムに満ちた異界を描いた作風で知られる。現在であれば「少女趣味」と目されるかもしれない、典型的にヴィクトリアンな妖精画を描く。昆虫の羽を背にもつ美しい小さな妖精たちや、あくまで現世的な美しさをもつ女神たちの絵は、ファンタジーマニアからは「かつては半神であった妖精の地位を近代主義的に矮小化した」ものして批判されるが、それでもラッカムの独特に暗い色彩感覚は、やはり美しい。






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