魔女のサバトを描いた17世紀初頭の木版画。魔女が反キリスト(アンチ・クライスト)への忠誠の証としてサタンの尻にキスをするところ。
この版画は16世紀から17世紀にかけて生きたと言われるミラノの司祭フランチェスコ・マリア・グアッゾの著作『魔女大要』(または『呪術大全』『魔女狩りの手引き』などと邦訳される、Compendium Maleficarum)への挿絵の一枚である。グアッゾはサタンへの忠誠の誓いは十一の儀礼をもって行われるとし、その儀式の内容を事細かに書き記した。この本に由来するのか、あるいはもっと古くから伝えられるものなのかは知らないが、「悪魔の肛門または性器への接吻」は魔女裁判において魔女の決定的証拠として取り扱われたことで有名で、異端審問官が数々の誘導尋問をもって被疑者にこの告白を無理強いしたことは、こんにちよく知られるとおりである。いい年したオヤジたちが女を取り囲んで拷問し、「悪魔の精液はとても冷たかったです。わたしは腹の中が凍えそうでした」だの「魔王様のおしりの穴からはとても良いにおいが漂っておりました」などと言わせるのだから、現代のエロビデオとやってることはほぼ変わらないと言っていい。裏を返せば現代のエロ漫画エロ動画は四世紀以上も前のエロ趣味からほとんど発展していないとも言える。
まあ魔女の被疑者には男も多かったらしいが・・・、
この本の著者であるグアッゾは夢魔のスペシャリストとしても名を知られており、人間と夢魔との性的関係の詳細について論じているらしい。近世のエロ物書きというところだが、そのエロ著作をもってかずかずの人間を死に追いやっているのだから、罪深いことこの上ない。
画像はこちらから拝借 → 「MEDIEVAL MACABRE」
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